空想ノート雑記

SS、ちょっとした設定、雑記など

覆面企画7あとがきテンプレ

BGM “小惑星” by errorless artifacts.


■作者名
 未設定と申します。

■サイト名&アドレス
 空想ノート

■参加ブロック、作品番号、作品タイトル、作品アドレス
 A07
 ちいさな魔女とフローライトレンズ、祈り

■ジャンル
 ファンタジー

■あらすじ
 雪の降る夜のこと。エドと共に師匠の住む屋敷を目指すヘリオはその道中、響いた音の中に思い出を想起する。
 ちいさな魔女とある男の、静かな交流と結末。

■意気込みテンプレを使用された方は、URLを教えてください。


■推理をかわすための作戦は?
 まずはじめに叫ばせてください。

 小説家になろうで虚空の旅人を読んだ方はいなかったんだ! 良かった!

 意気込みテンプレで「フリとかではなくマジで参考にならない」とか宣ってましたが、なろう版だとプロローグの時点で区切りに「***」を使っていやがります。
 何してるんだよ、過去の自分は。
 時期的に、改稿作業で覆面のノリに無意識で引きずられた様ですが、企画終了後に気づくという体たらく。気付いた時、比喩的なしで目の前が暗くなりました。死んだ。

 意気込みテンプレで「文体は小手先で誤魔化した」とか書きましたが、ほとんどフェイクは入ってないです。
 記号、リズム、あ行の大小、改行。ほぼ変えておりません。益体などの特徴的な熟語も類語に変えませんでした。あんまり見ない単語ではあるよなーと二分くらい悩んだ後、「やくたい」という響きが好きだからいっかとスルーしたアホがこちらになります。
 強いて言うなら名前と名字を繋ぐ記号が=じゃなくて・なことくらいです。
 やったことといえば、単純に物語に合うように擬音マシマシにして柔らかい表現を心がけ、漢字をひらがなに開いた程度です。あとは地の文を言い切りにせず少々ぼかした感じに。
 「普段やらなくもないけど発表した作品の中にはあんまりない文体」という誤魔化しでした。

 今までの作品が現代延長上のものと謎の異世界ファンタジーなので、正統派っぽいファンタジーを書いてみました。ハリーポッターのような暮らしと魔法が密接な裏側の世界を常々書いてみたいと思っていましたが、あまりそんな風にはなってないですね。はい。

 悪文というか、導入の「の」三連続はわざと残してみました。これは商業作家でもたまに見かけるし、文章を俗っぽくするのに効果があったという理由からです。リズムがさほど崩れなかったから、というのもあります。
 でも「まるで」の同じ段落での被りは完全にミスです。アホ。

 未設定名義で発表した作品の中に普通のファンタジーがなかったということと、当時他の参加者の方々との交流もあまりなかったということだけで十分じゃなかろうかと思って、そこまでしてません。


■作品のネタを思いついたきっかけは?
 「光」というテーマを訓読みして「灯借り」に開き、夜道をランタンを持って歩く少年少女を思いつきました。まずそのシーンを筆が走るままに書き、そこから膨らませました。また意気込みでオススメしていたSCP Foundationのscp-239から「ちいさな魔女」という言葉を拝借し、一般人の少年とコンプレックスを持つ魔女の少女で行こう、と。
(scp-239は強力な現実改変能力者の幼女を「スペルブック」で制御しよう、という試みとその結末の話です。財団についての事前知識が必要になりますが「事件239B クレフ-コンドラキ」もおすすめ)
(意気込みでSCPを勧めていたのはぶっちゃけヒント目的だったのですが、こんなもんヒントにならねーよ、と過去の自分に突っ込みを入れたい)

 同時に、不定期連載掌編じゃ特殊なジジィしか書いてない→普通のジジィも書きたい→短編だからキャラ増やすのは避けたい→ジジィと少年統合しよう!→よしジジィ若返らすぞ! という謎の思考回路が発生しました。どうして歳を取らせなかったのか。残暑にやられたのか。

 導入で一度力尽きましたが、エドの目を蛍石と喩えたところから蛍石レンズに連想して、カメラと真昼、回想を主軸にすることを決定。
 最終的には灯借りというよりは陽借り、といった作品になりました。


■ストーリーの構築において気を使った点、苦労した点などあれば教えて下さい。
 六〇〇〇字ということで、これは余白も本文で埋める勢いで書かないとオチがつかないと思い、ヘリオにだけ焦点を当てました。反対にエドはスペースがないので、セリフや行動から背景をある程度察することができるようにしました。失敗していますが。
 「妻に見られたら怒られただろう(過去形)」「君は君だというのに(誰かと重ねて見ている)」「この半年、また笑うようになった(それ以前に何かショックなことがあった)」あたりなんですが、書き出してみるとすげぇ分かりづらいです。はい。

 視点を担当するヘリオ自身が嫌な奴に見えることだけは避けたかったため、そこは気を使いました。

 また、巻き戻しの魔法のご都合っぽさをある程度緩和しようとしましたが、うまくいかず。これも課題として残りました。
 ジジィ若返らすぞ!→よっしゃ魔法だ!
 という思考回路の産物なので当たり前です。行き当たりばったりすぎる。

 補足されるべき情報がかなり残ってしまったのが一番の反省点です。
 感想の方でも分かりにくいという方が結構いらっしゃいました。
 文字数・雰囲気と情報のバランスが取れていない、というのは憂慮すべき事態でしたが、それをどうにかするには容量も技量も足りませんでした。
 そのために一つ一つの要素がとっちらかってしまっています。特に蛍石とエドの瞳、カメラを繋ぐ蛍石レンズの話がタイトルだけで内容に含まれていないのが痛い。
 作者の実力では、六〇〇〇字でやれるネタではなかったと思います。

 長々と書かせていただきましたが、ぶっちゃけた話、導入とガールミーツジジィが書きたかっただけです。


■削ったエピソードなどありましたか? 作成裏話歓迎です。
 幻の師匠登場ルートがありました。
 脂の乗ったいいババァでした。

「成り行きとはいえ彼女に命を救われたことは分かっている。でも私は納得していたんだ。ジャック。コナー。アダム。フランク。アガサ。皆大切な友人だ。御元へ旅立つことになっても、妻と共に彼らを待とうと思っていた」
「……彼女を赦すことはできない。だが、それ以上にだ。私は、エドでありレジー・エドワーズでもある私は、あのちいさな友人を泣かせたくない。そう、決めた」
「私は、近いうちに死ぬだろう。私のまま、私のために死ぬのだ。だがそれまでは意地を通す。……潮解など、してやるものか」
 ネタ出し最初期にメモした台詞です(名前だけは最終稿のものに差し替え)。
 悩みましたが、この台詞を回収すると文字数が跳ね上がるので思い切ってカット。そして内容がボケるという大惨事。アホ。

 上でも書きましたが、蛍石レンズの話がタイトル以外でできなかったのが残念です。一等いい蛍石→レンズとして加工可能な無傷透明のもの、のつもりでした。
 蛍石は様々な色・パターンがあるのに具体的な色がどこにも描写されていないので、自分でも「どんな色だよ!」と突っ込み入れながら書いてました。
 名字を産地名にしてある程度色を指定しようかとも思いましたが、下記の理由があり断念。

蛍石、か。こういうのを、縁があるというのかな」
「縁?」
「このカメラのレンズも、蛍石が原料なんだ」
 そう言って、男はカメラのレンズを撫でた。
「ガラスのレンズより精細に写る分、ちゃんと管理しないとすぐに潮解して表面が曇ってしまうそうだ。まあ、私の腕では差なんて分からないが」
「へえ。蛍石といったら緑とか紫だと思ってたけれど、透明なのもあるのね」
 レンズを覗き込むヘリオの横で、男は目を細めた。
「……元々、カメラはソフィアの、妻の趣味だったんだよ。彼女の腕にはまったく近づけないけどね」


 キャラ二人の名前も変わりました。
 ヘリオは投稿直前までポーラという名前でした。ポーラスター、北極星が由来でしたが、要素をこれ以上とっちらからせるのはと思い、変更。
 花の名前でもありますが、今回はブラッドストーンとも呼ばれる鉱石の別称が由来です。太陽を呼び戻す石という意味があるそうです。あとなんかリューマチに効くらしいですが、どういうことなんだろう。
 花言葉は「献身的な愛」「熱望」、石言葉は「勇敢・勇気」「献身」「救いの力」など。

 一方エドは、
ベンジャミン・レジナルド→ベンジャミン・エドワーズ→レジナルド・エドワーズ
 文字数との兼ね合いのために姓名どちらもカタカナ二文字の愛称がある名前にしたかったので、かなりバタバタと。ベンジャミンは自作品にベンという名前のキャラがいたため没。
 最終的にレジーだったのは、レグ・エドワーズをヨグ・ソトースに空目したためです。


■その作品の続編または長編化のご予定は?
 というか加筆したいです。


■その作品で気に入っている箇所はどこですか?
 ヘリオがエドと知り合って、少しずつ柔らかくなってくところ。
 最初、現像って言葉知らなかったんですよ、彼女。それが秋には現像って使ってるんですよ。巻き上げレバーについても理解してるんですよ。
 いい。
 上記の通り、導入部分とガールミーツジジィが書きたかっただけと言っても過言ではないですからね。この話。


■推理期間中、褒められた点は?
 事案発生(褒めていない)。
 いやあの、肖像権的にマズいだろ、と分かってはいたんですよ。その上で深く考えずに「……まあいっか」と流したアホがこちらになります。
 エドワーズ氏はきっと、平日昼間からフラフラしてるつまんなそうな顔した女の子(ヘリオ)との会話の起点を作るためにあえてやった、と言い訳を笑顔で並び立てるでしょう。

「あなたのこと、エドって呼ぶわ。他の人と一緒なんてつまらないもの」
 このセリフを複数の方に誉めていただけたのは嬉しかったです。
 全体的におしゃれだと書いてくださった方も。本当にありがとうございます。
 しかし申し訳ない事に、これを書いた人間はモンハンでシャレコウベ被って片手剣振り回して喜んでるタイプの蛮族です。グンマー


■推理されてみて、いかがでしたか?
 そういうところまで見るのか……! と常に戦慄しっぱなしでした。
 あと普段感想を貰い慣れていないせいか、喜びのあまり途中で胃炎と頭痛を発症してました。
 ろくでもねぇな、自分。

 「真北さんっぽい」となりながら、結局未設定だろ、みたいな方が多い感じだったと思います。
 真北さんのシーガル提出作を拝読して、確かに似てる、と。しかし弾除けとしてはあまり機能していなかった模様。

「タイトルが独特」から虚空の旅人の章タイトルに注目されたのは驚きました。
 「ちいさな魔女」は凝りましたが、「虚空の旅人」は考える手間を省くために内容を羅列してただけ、と作者の中では全く別の方向でしたので。


■正解以外に、あなたの名前があがった作品はありましたか?
 チェックできた限りだとA03、06、09。
 A03を私が書いたら主人公がもっとDTこじらせてそうだなあとか思ってました。キスの直前で女子の首すじにキスマーク見つけて絶望とかそういう。真北さんごめんなさい。
 06、09はどちらも時代物。ブロック自体に時代物が固まっていたとはいえ、三作あるうちの二作が挙がるとは、と少し驚きました。


■あなたの作品の作者だと推理された方はいましたか?
 推理途中の真北さん率の高さ。
 ただ最終的に真北さんを上げてた方は少なかったような。
 確認できた分では、真北さん、鈴埜さん、菜宮さんが挙がっていました。


■推理してみて、いかがでしたか?
■あなたの推理はどのくらいの正解率でしたか?
 ほとんどできてないです。割愛。


■この企画に参加して、改めて気づいたことはありますか?
 自分の癖について把握する、いい機会になりました。
 しかし自業自得で時間がとれないという体たらく。
 次回はきちんと参加していきたい……


■参加作品の中で印象深い作品をあげてください。
A02 国境いの灯台守
 どんでん返しに痺れました。
 唐突に出てきた眼柄という見慣れない単語に「?」となり、七本の肢の殻に「甲殻類か!」となり、真空の中で長くは生きられないというフレーズに「!!!???」となりました。驚いた。
 この夫婦に幸あれ。


■参加作品の中で印象深いタイトルの作品をあげてください。
F08 ねがはくは花のもとにて…
 続きを思わず口ずさみました。素敵。
 「タイトルからして西行法師の話かな」と思って開いたら、意外や意外、SFだった、というのも印象的でした。


■参加作品の中で面白かった3作品&一言感想、お願いします。
B05 聖女とロザリオ
 どうしようもない絶望感と退廃的な風景が好きです。最も美しく少女を磔にして最も残酷に男を絶望させるための世界なのではないかとさえ思いました。

B06 クビをキレ
 前半で主人公に共感。そして後半で喉に覚醒した主人公の感性のキレっぷりが好きです。
 最後のシーンが特に素敵。

D08 R18-G
 18人のRとひとりのGの物語。鮮烈に流れていく18人の生と、それを俯瞰するGの、最初の一人への敬愛がただ眩しい。