空想ノート雑記

SS、ちょっとした設定、雑記など

Kの水葬について-1

 サイトの方で技術的な話とか舞台の補足説明とかはしたので、ここでは小ネタとかキャラとかについてゆるく書いていきます。今回は小説覚書ではわざと軽い説明しかしなかった原型の話。ネタバレ含みますので未閲覧の方はご注意ください。  小説覚書では「高校時代に中途半端に書いた」としか説明してないのですが、これは話すと無駄に長くなるからという理由です。
 原型である「K」は、高校時代、現代文の教科書に載っていた夏目漱石こゝろ」、梶井基次郎Kの昇天」、あと当時機会があって読んだ芥川竜之介「河童」に多大な影響を受けて書かれたものです。内容はと言えばこの三つを変な風に混ぜて水で薄めたような代物で、とても世間に出せるクオリティではありませんでした。
 川崎の原型が中塚の原型を絞殺未遂したとか、リテイクで北村が背負った業はもともと川崎の原型のものだったのです。北村の原型はと言えばもっとえげつないことをしてました。
 影響と勢いで書いただけあって、原型は矛盾も多く、尻すぼみで終わっています。とはいえいつか書き直して公開したいと考え始めたのが確か去年の秋ごろ。そして電脳探偵の執筆に詰まった今年の二月、現状を打破するためにリテイクし始めたのでした。
 最初はストーリーそのままに現在の文章力で書き直すだけの簡単なお仕事(書き出す前に一応原型のオチまで考えました)だと思っていたのですが、矛盾の山やらなんやらが噴出し、結局設定をかなり変えて、手探りでプロットを立てつつの執筆となりました。ちなみにその後一回データ飛ばしました。書き出しの部分だけとはいえ泣きました。
 川崎のスタンスや中塚の嘘なども中盤でやっと確定させ、北村に至ってはぎりぎりまで調整しました。玖珠古も(当時の自分が何を思ってこんな名前を付けたのかさえ謎)ロリから成長させ、玉輝姫(実はたまきではなくたまてると読みます。でもどっちでもいいです)も原型ではいい人だったのにいつのまにか崩れました。
 そのしわ寄せはクライマックスに全部来ました。ログ自体は消してしまったのですが、ツイッターで「主人公のどちらかを幸せにしようとするともう片方が不幸になる現象に名前を付けたい」といったニュアンスのことをつぶやいたことがあります。実際そんな感じで、クライマックスで川崎を立てようとすれば中塚が死ぬか再起不能になり、中塚を立てれば川崎が死ぬ、みたいなひどい現象が起きました。最初の動機は「主人公を海に沈めたい(※語弊アリ)」ではありましたが、途中でそんな打ち切りか丸投げのようなオチにしたくないという思いが強くなり、いろいろと調整しつつ現在のかたちまでこぎつけました。よかったね川崎。

 次は「なぜ現代の話にしなかったのか」ということについて。どうしてバブル経済全盛期にしたのかは自分でも分かりませんが、現代の話にしなかったことについては一応理由があります。現代が舞台ではこの話は成り立たないのです、実は。